【現代文・論説文編】センスは不要!評論文の論理展開を見抜く3つの視点と傍線部分析の極意

コラム
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前回の「総論」では、現代文はセンスではなく客観的な論理で解く科目だという、一番大切なルールをお話ししました。いよいよ今回から、実践編に突入します!

大学受験の現代文において、最も出題頻度が高く、そして最も「正しい読み方」が点数に直結するのが、今回解説する「論説文(評論文)」です。

「漢字ばかりで難しそう…」
「テーマが難解で、何が言いたいのかサッパリわからない」

と最初からアレルギーを起こしてしまう受験生も多いジャンルですよね。
しかし、実は論説文には、どんなに難しいテーマであっても共通して使える「論理展開を見抜く型」が存在します。

この記事でその「型」をマスターして、論説文を“なんとなく読む”状態から卒業し、確実な得点源に変えていきましょう!

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はじめに|「論説文(評論文)」ってそもそもどんな文章?

具体的な読み方のテクニックに入る前に、まずは私たちがこれから立ち向かう「相手(論説文・評論文)」の正体をはっきりさせておきましょう。ここを勘違いしていると、読解のピントがズレてしまいます。

「筆者の主張」を他人に納得させるための文章

論説文(評論文)とは、一言で言えば
「筆者が自分の意見(主張)を、読者に『なるほど、たしかにその通りだ!』と納得させるために書かれた文章」
です。

前回の総論でもお伝えした通り、ここで問われるのは「筆者の個人的な喜怒哀楽」ではありません。
小説のように登場人物の悲しみや喜びを共感しながら読むのではなく、あくまで客観的に「筆者が何を言いたいのか(=主張)」と、「なぜそう言えるのか(=根拠)」を読み取る能力が求められます。

「主張」と「根拠」のセットを探すゲーム

たとえば、ある人が「高校の制服は廃止すべきだ」と主張したとします。
しかし、これだけではただの個人的な感想やワガママで終わってしまい、誰も納得してくれませんよね。

他人を論理的に納得させるためには、「なぜなら、制服は生徒の多様な個性を画一化し、自己表現の機会を奪ってしまうからだ」といった客観的な根拠(理由や具体例)が必ずセットになっていなければなりません

入試に出題されるような学者や評論家の書く文章は、どれほど漢字が多くて難解に見えても、根本的な構造はこれとまったく同じです。テーマが「近代科学」や「言語論」などに変わっているだけなのです。

つまり、論説文の読解とは、難しい言葉の森の中から「筆者の最大の主張」と「それを裏付ける根拠」のセットを探し出すゲームだと言えます。
この本質をしっかりと頭に入れた上で、次の章からそのセットを素早く正確に見つけ出すための「具体的な読み方の視点」をマスターしていきましょう!

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読解の基本!論説文の構造を見抜く「3つの視点」

論説文に苦手意識を持つ受験生の多くは、文章を「単なる文字の羅列」として最初から最後まで平坦に読んでしまっています。
しかし、論理的な文章というものは、文と文、段落と段落が複雑に絡み合って構成されています

ただ文字を追うのではなく、「今読んでいる文は、前の文とどういう関係にあるのか?」を常に意識しながら読むことが重要です。その関係性を見抜くための「3つの視点」を解説します。

①イコールの関係(言い換え・具体と抽象)

1つ目の視点は「イコールの関係」です。
筆者は、自分が一番伝えたい重要な「主張」を、読者に確実に理解してもらうために、手を変え品を変え、何度も言い換えて繰り返します

抽象(わかりにくい主張)具体(わかりやすい例え)

このイコール関係を見抜くために注目すべきサインは、「つまり」「要するに」「言い換えれば」「たとえば」といった言葉です。

【例文】
日本人は「空気を読む」文化に縛られている。(←抽象)
たとえば、会議で反対意見があっても、周りの賛成ムードを察して口をつぐんでしまうことが多い。(←具体)
つまり、個人の意思よりも集団の調和を優先する傾向が強いのだ。(←抽象の言い換え)

もし最初の「空気を読む」という表現がピンとこなくても、「たとえば」以降の具体例を読めばイメージできますよね。そして「つまり」の後で、再び筆者の言いたいことがまとめられています。

「わからない表現が出てきても、立ち止まらずにイコールの関係(言い換え・具体例)を探す」のが、論説文読解の鉄則です。

②対立の関係(対比・二項対立)

2つ目の視点は「対立の関係」です。
筆者が自分の主張(A)を際立たせるために、最もよく使うテクニックが「反対のもの(B)を引き合いに出す」という方法です。これを対比(二項対立)と呼びます。

大学受験の現代文では、以下のような対比のペアが頻出します。

  • 「西洋(個人主義・理性)」 対 「東洋(集団主義・自然との調和)」
  • 「近代(科学・合理性)」 対 「前近代(宗教・伝統)」
  • 「客観(誰もが認める事実)」 対 「主観(個人の思い込み)」

この対比構造を見抜けると、読解スピードは劇的に上がります。

【例文】
西洋の建築物は、石やレンガを用いて自然を支配し、永遠に残ることを目指して作られた。これに対して、日本の伝統的な木造建築は、時が経てば朽ちることを前提とし、自然と調和するように設計されている。

もし設問で「日本の伝統的な建築の特徴について説明せよ」と問われた場合、日本のことだけを探すよりも、対比されている「西洋の建築」の逆(自然を支配する⇔自然と調和する)を考えた方が、答えの要素を簡単に見つけ出すことができます。

③因果関係(理由と結果)

3つ目の視点は「因果関係」です。
「原因(A)があるから、結果(B)になる」という論理の繋がりですね。

注目すべきサインは、「だから」「したがって」「その結果」「なぜなら」「〜という理由で」といった言葉です。

【例文】
近年、SNSの普及により誰もが容易に情報を発信できるようになった。(←原因)
その結果、真偽不明のフェイクニュースが瞬時に拡散されるという社会問題が発生している。(←結果)

現代文の設問で最も多いのが、「傍線部~とあるが、それはなぜか(理由)」を問う問題です。
このとき、本文中の因果関係を正確に把握できていないと、ダミーの選択肢(本文に書いてあるけれど、理由にはなっていないもの)に必ず引っかかってしまいます

文章を読むときは、「何が原因で、どういう結果になったのか」という矢印(←)の繋がりを常に頭の中で整理するクセをつけましょう。

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見落とし厳禁!論理の道しるべとなる「接続詞」

前章で「文と文の関係性」を見るための3つの視点をお伝えしましたが、その関係性を最もわかりやすく教えてくれるサインが「接続詞」です。

接続詞は、道路標識のようなものです。
「この先は言い換え(イコール)ですよ」「ここから逆接(対比)ですよ」と、筆者が親切に案内してくれているわけです。
これを読み飛ばしてしまうのは、ナビを無視して知らない道をドライブするようなもので、非常に危険です。

「しかし・ところが(逆接)」の後は宝の山

数ある接続詞の中でも、評論文において最も重要かつ「宝の山」となるのが、「しかし」「ところが」「だが」といった逆接の接続詞です。

論説文では、筆者が自分の独自の主張を際立たせるために、あえて最初に「世間一般の常識(一般論)」を持ってくるという王道の展開パターンがあります。

【例文】
一般的に、IT技術の進化は人々の生活を豊かにし、時間を生み出すと考えられている。(←一般論)
しかし、本当にそうだろうか。常に情報に接続されている現代人は、むしろIT技術によって時間に追われ、精神的なゆとりを奪われているのではないか。(←筆者の主張)

出題者が問題にしたいのは、世間の常識ではなく「筆者独自の主張」です。
したがって、「しかし」で一般論をひっくり返した直後に来る文章は、本文全体のテーマや解答の根拠になる確率が極めて高い、超重要ポイントになります。

「しかし」を見つけたら、「キタキタ!」と身構えるクセをつけてください。

接続詞への印づけと、最強のマーキング術「行またぎ線」

こうした重要な接続詞を見落とさないために、読みながら「しかし」には逆三角形(▽)、「つまり」には丸(◯)など、自分なりのルールで印をつけて視覚化していくことは非常に有効です。

ただし、ここで一つ大きな注意点があります
真面目な受験生ほど、本文のあちこちに線を引いてしまい、最終的に印が多すぎて「どこが本当に重要なのか、読み返してもさっぱりわからない」状態に陥りがちです。
すべての文に線を引くのは、どこにも線を引いていないのと同じです。

おすすめは「行をまたいだ線(リンク)」で繋ぐこと

そこで私が強くおすすめしたい、とっておきのマーキング術があります。

それが「行をまたいだ印(線)」です。

前章で、筆者は大切な主張を「言い換え(イコール)」て何度も繰り返すとお話ししましたよね。

たとえば、20行目で出てきた「近代の合理主義」というキーワードが、表現を少し変えて40行目で「計算可能な思考」として再び登場したとします。

このとき、ただそれぞれに線を引くのではなく、20行目の言葉から40行目の言葉へ向かって、ズバッと行をまたぐ長い横線(縦書きの場合)を引いて、2つを直接結びつけてしまうのです。

【行またぎ線のメリット】

  • 本文をパッと見たときに、「ああ、この段落とこの段落は同じ話(イコールの関係)をしているんだな」という文章の大きな構造が一目でわかる。
  • 無駄な傍線が減り、本当に重要な「論理の骨格」だけが視覚化される。

接続詞の記号化と、この「行またぎ線」を組み合わせることで、難解な本文がまるで「見取り図」のように整理され、設問を解くときの圧倒的な武器になります。
ぜひ次の模試や過去問演習から試してみてください!

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【実践編】正解率が劇的に上がる「傍線部」の解剖ステップ

いよいよ、この記事のメインテーマである「実践編」に入ります。

前回の「総論」で、「いきなり傍線部の周辺に答えを探しに行くのではなく、まずは傍線部そのものを解剖せよ」とお伝えしました。
今回は、実際の入試問題に近い短い文章と選択肢を使って、その「解剖のステップ」を具体的に体験してみましょう。

まずは、以下の例文と問題を見てください。
論説文で最も頻出する「どういうことか(=内容の言い換え)」を問う問題です。

【例題】
現代のSNS社会では、人々は膨大な情報を瞬時にやり取りし、常に誰かとつながっている。一見すると、これはコミュニケーションの豊かさを示しているように思える。しかし、画面越しの文字だけのやり取りでは、相手の表情や声のトーンといった非言語的な情報が削ぎ落とされてしまう。その結果、私たちは言葉の表面的な意味だけを受け取り、相手の真意を誤解しやすくなる。このようなコミュニケーションの希薄化が、現代人の孤独感を深める一因となっているのだ。

問:傍線部①「このようなコミュニケーションの希薄化」とあるが、どういうことか。最も適切なものを選べ。

ア:SNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信できるようになった結果、他者との関係が浅く広く変化してしまったこと。
イ:文字だけのやり取りによって非言語的な情報が失われることで、相手の真意を正確に汲み取れなくなること。
ウ:現代人は常に誰かとつながっているにもかかわらず、本音を打ち明ける相手がおらず、孤独感を抱えやすくなっていること。
エ:情報量が膨大になった結果、人々が他者の感情に無関心になり、表面的な付き合いしかできなくなっていること。

なんとなく傍線部の周辺を読んで、なんとなく選択肢を選ぶと、見事にひっかけ(ダミー選択肢)に誘導されます。
確実な正解を導き出すための「3つのステップ」を踏んでいきましょう。

ステップ1:傍線部を「文節」で区切って意味を正確に取る

まずは、本文に戻る前に「傍線部そのもの」を熟読・解剖します。
一息に読むのではなく、文節(意味のカタマリ)で区切って、出題者の要求を整理します。

今回の傍線部①「このようなコミュニケーションの希薄化」は、次のように区切れます。

「このような」+「コミュニケーションの」+「希薄化」

つまり、出題者があなたに求めているのは「『どのような』コミュニケーションが、『どう希薄(=薄っぺらく)』になっているのかを説明してね」ということです。これが、答えを探すためのターゲットになります。

ステップ2:「指示語」の中身を明らかにする

傍線部の中に「これ」「その」「このような」といった指示語が含まれている場合、絶対に指示語の中身を特定してからでないと、選択肢を見てはいけません。

「このような」は直前の内容を指すサインです。直前をさかのぼってみましょう。

【例題】
現代のSNS社会では、人々は膨大な情報を瞬時にやり取りし、常に誰かとつながっている。一見すると、これはコミュニケーションの豊かさを示しているように思える。しかし、画面越しの文字だけのやり取りでは、相手の表情や声のトーンといった非言語的な情報が削ぎ落とされてしまう。その結果、私たちは言葉の表面的な意味だけを受け取り、相手の真意を誤解しやすくなるこのようなコミュニケーションの希薄化が、現代人の孤独感を深める一因となっているのだ。

すると、「画面越しの文字だけのやり取りでは、(中略)非言語的な情報が削ぎ落とされてしまう。その結果、(中略)相手の真意を誤解しやすくなる」という部分が「このような」の中身(イコールの関係)であることがわかります。

つまり、傍線部が言わんとしているのは、 【非言語情報が削ぎ落とされ、真意を誤解しやすくなること(=このような)】【コミュニケーションの希薄化】 ということになります。

ステップ3:解剖した要素と「選択肢」を照らし合わせる

ターゲットが明確になったら、いよいよ選択肢との勝負です。現代文の選択肢は「なんとなく合っているもの」を選ぶのではなく、「本文に書かれていない要素(キズ)」を見つけて消去していくのが鉄則です。

一つずつ検証してみましょう。

  • ア:他者との関係が浅く広く変化〜
    → 本文には「浅く広く」なんて一言も書かれていません。受験生の「一般常識」に訴えかける典型的なダミーです。(×)
  • ウ:本音を打ち明ける相手がおらず、孤独感を抱えやすくなっていること。
    → これは「周囲ばかりを探す人」が引っかかる罠です。確かに傍線部のすぐ後ろに「孤独感を深める」と書いてありますが、それは希薄化の「結果(因果関係)」であって、「希薄化とはどういうことか」という説明(イコール)にはなっていません。(×)
  • エ:他者の感情に無関心になり〜
    → 本文に「無関心になる」とは書かれていません。「誤解しやすくなる」と書かれています。(×)

残った「イ」を見てください。

  • イ:文字だけのやり取りによって非言語的な情報が失われることで、相手の真意を正確に汲み取れなくなること。

ステップ2で見つけた【非言語情報が削ぎ落とされ、真意を誤解しやすくなること】という要素が、過不足なく「イコール」で言い換えられていますよね。したがって、正解は「イ」になります。

傍線部の分析こそが最高の「防御」になる

いかがでしたか?
「なんとなく」でウを選びそうになった人もいたのではないでしょうか。

傍線部を解剖し、「こういう要素が入っている選択肢が正解になるはずだ」とアタリをつけてから選択肢を見る。このステップを踏むだけで、出題者が仕掛けた巧妙なダミー選択肢に騙される確率は劇的に下がります。

過去問演習をするときは、丸つけをして満足するのではなく、「自分はこのステップを正確に踏めていたか?」を毎回振り返るようにしてくださいね。

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まとめ|論説文は「論理のパズル」である

お疲れ様でした!
今回は、現代文の中で最も重要となる「論説文(評論文)」の読み方と解き方の実践テクニックを解説しました。

ルールがわかれば、現代文は必ず解ける

漢字が多くて難解なテーマが並ぶ論説文ですが、その本質は「論理のパズル」です。

  • 筆者が用意した「イコール(言い換え)」「対比」「因果関係」というピースを、接続詞という道しるべを頼りに正しく組み立てていく。
  • そして、設問という名の「出題者からの挑戦状」に対しては、いきなり答えを探しに行くのではなく、まずは傍線部を丁寧に解剖してターゲットを明確にする。
  • 最後に、本文に書かれていない要素(キズのあるピース)を論理的に弾き落としていく。

このルールと手順(正しいフォーム)さえ守れば、どんなに初見の難しい文章であっても、必ず正解というゴールにたどり着くことができます。

最初は時間がかかっても構いません。焦って「なんとなく」で文章を上滑りするクセに戻らないよう、今回紹介した視点と解剖ステップを、これからの問題演習で一つひとつ丁寧に実践していってくださいね。

次回は「小説編」!感情ではなく「フラグ」を読め

さて、論説文の読み方の型を学んだら、次はもう一つの大きな壁である「小説編」に入ります。

「論説文は客観的に読めるようになったけど、小説になるとどうしても登場人物の気持ちがわからなくて間違えちゃう……」
という受験生は非常に多いです。
しかし、実は大学受験の「小説」にも、論説文と同じように絶対に守るべき客観的な読解ルールが存在します。

次回は、皆さんが最もフィーリングや共感で解いてしまいがちな小説問題を、驚くほどシステマチックに解き明かす方法を解説します。お楽しみに!

▶︎ 次の記事はこちら:【現代文・小説編】「登場人物の気持ち」は想像するな!客観的に解くための“心情把握の公式”

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